2010/09/29 09:54   サンド島 兵舎


「―記事?俺たちの?」

朝食を済ませた彼らに、私は昨日思ったことを口にした。


昨日、ハミルトン大尉が気をまわしてくれ、私は報道員としてサンド島空軍基地に駐留することになった。

そして、書く記事について考えを巡らせた結果彼ら、ウォードック隊について書こうと決めたのだ。



「あぁ、書かせてくれないか?」

「俺たちの話なんて、面白いか?」


ティルは乗る気じゃないようだ。


「面白い、面白くない関係なく、君たちの存在を世界に教えるんだよ。」


なんたって、彼らはセントヒューレット軍港を守ったのだから。

巷で噂される、サンド等4機の救援なしではあの軍港は今頃無くなっている。

私は間違いないと密かに確信している。



彼らなしでは、きっとあの軍港は全滅していた。


「…でもなぁ。」

「いいじゃねぇか、ティル。」


そう言ってくれたのはチョッパーだ。

彼はにやりと笑う。


「書いてもらおうぜ。俺たちの勇士をよぉ。」







滑走路に機体を置いてもらい、その前に4人を並ばせた。


「僕、まだ所属して一日目ですから…。」


そう言って、ひっこむグリムをチョッパーは無理矢理首に手をまわして押さえつけた。


「なーに言ってんだ。お前もウォードック隊だろ?」


「いいかい?撮って。」

「おう、いつでもいいぜ。」


そう言われ、カメラを構える。


呆れるように、チョッパーを見るナガセ少尉とティル。

無理矢理押さえつけられたグリムは何とか立っている状態だが、
まぁ、彼らのユーモアが見れていいだろう。


「撮るよ。」


その言葉と共に、チョッパーは右手をあげた。

シャッターを切る。


「あ…。」


それと同時にティルの顔が隠れた、気がする。


「終わりか?」


「うん。あとは記事を書くだけさ。あとで取材受けてくれるかい?」


やっと解放されたグリムは首を何度もさする。


ナガセ少尉は興味なさそうにさっさと兵舎へ戻ってしまった。


「もちろんいいとも。」


チョッパーは快く頷いてくれた。



まぁ、写真は大丈夫だろう…。










「な、な…俺の顔隠れてるじゃんよ!!!?」


では、なかったようだ…。

現像してみれば、見事なことにチョッパーの手によってティルの顔が隠れていた。


それをみたチョッパーは盛大に笑い声をあげている。


「見ろよ、グリム!!ティルの顔が…。」


「あ。」


「俺の、顔〜。」


「撮りなおし、するかい?」

「いや、これでいい!!面白いからっ」

「面白くない!!!」


ティルは机を叩く。

それでもチョッパーは笑い続けていた。

写真を眺めるグリムに、焼き増しを数枚渡す。


「これ、ナガセ少尉にも渡してくれる?」

「了解です。」












写真を眺めながら、私は記事を打つ。


打ちながら、この戦争と共に彼らを見つめていきたいという思いが強くなっていった。






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