「夏樹、秋!一緒に帰ろうぜぃ」
窮屈な授業もすべて終わり、ある者は部活へ、ある者は家へとそれぞれ散り散りになっていく。
そんな中、秋たちの教室のドアから顔をのぞかせ、冬流は叫んだ。
その隣で春哉が耳を塞いぎ、顔をしかめていた。
「わかったから叫ぶな。アホに見えるぞ。」
「その通り。」
夏樹の科白に春哉は頷き、秋は笑う。
4人は何人もの生徒たちとすれ違いながら下駄箱へと向かった。
靴を履き替え校庭へ出る。
すでに野球部やサッカー部などが活動を始めていた。
「部活、何か入る?」
「考え中。」
春哉と夏樹のやり取りに秋と冬流も同じだ。
不意に、秋の耳に届いた音。
それに秋ははっとなり、校舎を振り返った。
「秋?どした?」
「ギター…。」
「?」
春哉が訝しそうに秋を窺う。
秋は返事もせずに校舎を見上げ、音を辿る。
しかし、幻聴だったかのか、野球部やサッカー部の歓声しか聞こえなかった。
「気のせい、だったかも。」
「秋、春哉!行くぞー。」
「マクド行こうぜぃ!」
秋は諦めたように歩きだした。
戻る