1995/04/15 11:50 B7R
≪ ガルム隊に告ぐ 円卓に侵入せよ ≫
円卓の周りにいた敵機を排除し、俺たちは機体を円卓へと向けた。
目の前には山脈が広がっている。
これが…
『これが、円卓…噂には聞いていたが』
ピクシーは圧倒されているように言った。
戦闘機乗りならだれしもが知っている円卓。
シートに座りなおし、スロットルを握る。
一息ついて、もういちど円卓と対峙する。
「行くぞ…」
その言葉とともにスロットルを前に倒した。
円卓に入る。
その時、AWACSが叫んだ。
≪ 警告!B7Rに高速で侵入する機影 新たに捕捉!≫
レーダーを見る。
4機の機影。本隊か…。
≪ ガルム隊へ 撤退は許可できない 迎撃せよ ≫
『だろうな。報酬上乗せだ。』
ピクシーはわざと愉快そうに言った。
無論、引くつもりは毛等もない。
「ピクシー、迎え撃つぞ。」
「了解、相棒。」
だんだんと見える敵機。
『ホーネットか…尻の一刺しに気をつけな』
一瞬で機体がすれ違う。
機体にはグリーンの迷彩が施されている。
一瞬だったが垂直尾翼には確かにフクロウの絵があった。
『相棒…。』
ピクシーも気づいたようだ。
「グリューン隊、か。」
『大物がでたな。』
この戦争で数々の戦果をあげているグリューン隊。
隊をまとめる一番機は通称、「フクロウの目を持つ男」。
〈 冗談ではないらしいな 2機だけだ 〉
最後尾にいる一機に目を付ける。
操縦桿を一気に引いて旋回。
機体を捻じ込むように後ろを取る。
機関砲を安全装置を外す、まだ打たない。
ロックはしているがこの距離では交わされる。
スロットルは前に倒したまま緩めず加速度を増していく。
相手も負けじと俺の後ろから逃れようともがく。
逃すまいと追いかけながら着実に距離を縮めていく。
機関砲を放つ。
鉄を貫く音。
ボスンと破裂音を立たせ目の前の機体は白い煙をあげた。
〈 ウスティオの傭兵が…っ 〉
上から何かが降ってきた。
雨…、違う。
機関砲の弾と気づいたと同時に操縦桿を引く。
上から降下してきたグリューン隊の一機と目が合った。
ミサイルを撃つ。
爆音とともに炎に包まれた敵機とすれ違う。
墜ちていくのを見はしなかった。
〈 予想以上にやってくれるな 〉
『相棒、やるじゃねぇか!!』
「ラスト2機、一番機は俺が墜とす。」
『…了解。花はお前に持たせてやるよ。』
〈 戯言を…っ 〉
先頭を飛んでいた一番機はすぐに見つけられた。
こちらに向かって飛んでくる。
空を裂く音。
キャノピーのすぐ脇を何かが掠める。
左翼の方から金属に穴があく音が聞こえた。
「…」
左翼は確認しなかった。
メーターも異常を示してはいない。
一瞬にしてすれ違う。
キャノピーの中は確認できなかった。
操縦桿を握りなおす。
操縦桿を引いて、機体を持ち上げる。
空と地上が反転する。
遠くでグリューンの一番機がこちらに向かってくるのが見えた。
機体を立て直し、対峙する。
「一か八か…か」
死んでも構わない。
ここで死ねたら、戦闘機乗りとしては本望かもな。
そう考えていて、ふっと笑う。
機関砲の安全装置が外れているのを確認する。
正面から突っ込んで、機関砲を放つ。
相手も同じ考えのようで、まっすぐとこちらに飛んできた。
引き寄せる。
まだ、遠い。
どくどくと心臓が鳴る。
怖い?
まさか…。
まだ…。
もう少し…。
今だ!
その瞬間機関砲を放った。
同じタイミングで相手も機関砲を放つ。
キャノピーすれすれに鉛玉が飛ぶ。
鉄を裂く音がいくつか聞こえた。
すれ違ったのは一瞬だっだがスローモーションのようにが流れていく。
ふぅっと一息つく暇もなく、すぐさま機体を旋回させる。
一番機の機体からは微かだが、白い煙が上がっていた。
すかさず、機関砲を放つ。
バスンという音とともに彼の機体が高度を下げた。
吸い込まれるように円卓に堕ちて行った。
遠くで爆音。
『お掃除終了だ。』
あいつも最後の一機を墜としたようだ。
《 ベルカの増援 全機撃墜を確認 任務は終了した 基地に戻るぞ 》
俺の脇にピクシーが戻ってきた。
親指を立てて、こちらに合図をしている。
もういちど円卓を見渡した。
奴は、俺を死なせてはくれなかったのだ…。
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