「B7Rを知っているか?」
そう言ったのは、誰だったか…。
俺は思考をめぐらす。
「俺たち、戦闘機乗りが与えられた舞台さ。」
名前を思い出すことができない目の前の男はニヤリと笑う。
「そこは、上も下も、階級も所属も関係ない。
制空権をめぐって各国のエースたちが飛び交うんだ。」
あぁ、彼は確か前の相棒だ。
死ぬ前に言っていた。
「"生き残れ"これが唯一の交戦規定なんだ。」
―俺は、そこで飛びたい。
そう言っていたあいつの願いは叶わなかった。
1995/04/15 10:30 ヴァレー空軍基地
「サイファー!!」
食堂でアルフレッドと居た。
彼はプリンを幸せそうに食べている。
そこにピクシーが急いだ様子で駆けてきた。
「よぅ、片羽。」
「あ?お前らいつの間にそんな仲良くなったんだ?」
珍しい組み合わせなのかピクシーは俺とアルフレッドを意外そうに見た。
「なんか用か?」
俺の科白にピクシーははっとなる。
何かを思い出したようだ。
「そうだ!緊急指令が入った。」
「あらま。」
アルフレッドは大変だねぇと続ける。
「11時に離陸。今すぐ司令室に来いだと。」
「わかった。」
「んじゃ、俺はお前らの機体の最終チェックするかな…。」
アルフレッドと同時に立ちあがった。
1995/04/15 11:20 B7R
青い空を飛ぶのは久しぶりだ。
燦々と輝く太陽が目に痛い。
≪ガルム隊 こちらイーグルアイ
B7Rに侵入し周辺状況を探れ。≫
「ガルム1 了解。」
『俺たちにはお似合いの場所と任務だ。』
俺は円卓を広く見渡す。
起伏の激しい地形が円卓上に広がるその情景はなにもない。
地がむき出しになった山。
生きているものは何もないようだ。
≪レーダーに敵性反応 警戒せよ≫
『くっそ…』
<IFFの故障?反応は二つだけだ>
<円卓を知らないのか?>
あざ笑うかのような声。
話には聞いていたが、ここの強力な磁場による混戦は本当らしい。
「あちらも気づいたようだな。」
≪ガルム隊 交戦を開始せよ≫
俺たちは飛び交う戦闘機の中にスロットルを倒した。
さっそく、レーダーが鳴る。
まだB7Rの空域には入っていない。
<チャンスだ逃がすな>
ミサイルをぶち込まれる前にスロットルを全開にして機体を旋回させる。
警報がやんだ。
<ロックしても抜けていく…あのイーグル>
<先遣隊がやられたのは事故ではなさそうだな…>
狙う敵機を探す。
レーダに数機の敵機影。
一番近いものに狙いを定めた。
≪ガルム隊へ告ぐ 空域B7Rに侵入せよ。≫
「了解。」
『サイファー、生き残るぞ!』
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