2010/04/02 13:00  ヴァレー空軍基地上空



どんよりとした鉛色の空。
ぶ厚い雲で太陽の光が阻まれ、暗い。

『降ってきたな…。』

ピクシーの言葉に顔を上げる。
白い雪が上から幾つも落ちてくる。

≪こちら、基地司令部 全機上がったようだな。ガルム1 ガルム2 現在の方位を維持せよ。≫

『こちらガルム2 了解した。』

≪方位315 ベルカ軍爆撃機接近≫

レーダーを見ると幾つもの敵影が移る。

『雪山でベイルアウトは悲惨だ。頼むぜ、1番機』
「あぁ」

薄暗い空に幾つもの黒い点が見える。

≪各機 迎撃体制をとれ≫

『報酬はきっちり用意しとけ』

≪互いが無事であればだ≫

『お財布握り締めて待ってろよ』



俺達はスロットルを倒した。

見る見るうちに黒い点が爆撃機とその護衛の戦闘機に見えてきた。

≪ガルム隊へ 敵爆撃機を全機撃墜せよ。基地には到着させるな。
 ガルム2お前はガルム1の指示に従え。作戦中の勝手な行動は禁じる。≫

『了解 指示は頼んだぜサイファー あんたがガルム1だ。』
「わかったよ、ピクシー」
『噂は聞いてる。ずいぶん器用な奴だってな。』

≪各機 交戦に備えよ≫

寒さで手が悴んでいるのを解すように操縦桿を握りなおす。
その際、機銃のロックも解除した。

一度、敵の偏隊を見る。
ざっと見て、20はいる。
その中で、爆撃機10、戦闘機も同じぐらい。

そのうち、爆撃機の一機は様子がおかしい。
機器の不調か。

隣にいたピクシーの機関砲がうなった。
様子がおかしい爆撃機を撃った。
大きい爆発音と共に雪山へと落ちる爆撃機。

「早いな…。」
『早くしねぇと、俺が堕とすぜ。』

ピクシーが挑戦するように言った。

一機の護衛機が機関砲をうならせた。
後ろからだ。
ふぅ、と一息。

「ピクシー」
『なんだ?』
「まずは、護衛機から墜とすぞ。」
『了解!お手並み拝見とするぜ、サイファー』

スロットルレバーを前に倒し、操縦桿を引いて上昇させる。
背中にかかる加速度を感じながらメーターをチェックする。油圧、燃料ともに異常なし。

近くにいるF-5Eを狙う。
すれ違う瞬間を狙って一気に右旋回。後ろをとる。
すぐに、機関砲を放つ。
煙を上げ、堕ちる敵機。ベイルアウトしたのが見えた。
その間にも次の獲物を探す。

遠くのほうで爆発音。
ピクシーだ。
その証拠に

『1機撃墜だ。』

というピクシーの声。

『ピクシー、俺達の分も残しとけよ。』

一人の傭兵がピクシーに言った。

『んなもん、自分で奪い取りな』

また、爆発音。
さすがだ。

狙っていた獲物に喰らいて、墜とす。
その間に、また他の獲物を探す。

それを何度か繰り返すうちに護衛機は1機になった。
尻に喰らいつく。
機関砲を放とうとしたとき、後ろからミサイルが飛んできた。
木っ端微塵に吹き飛ぶ敵機。

『失礼。』

ピクシーの声。

「横取りか…。」
『悪ぃな』

小さく息をつく。
油圧、燃料を再度チェック。
燃料も十分ある。

「基地指令へ 敵援護機は片付けた、引き続き爆撃機をやる。」

≪了解した 任せたぞ。≫

とろい爆撃機を落とすのは簡単だ。
後ろにつくのも容易く、全てを墜とすのにさほど時間もかからない。

何機かは味方機が落としているのはすでに確認済み。
しかし、爆撃機は進路を変えることは無く、真直ぐ飛んでいた。たいしたもんだ。

「ラスト、一機だ。」
『俺が貰うぜ。』

ピクシーが飛んでいった。
負けじと、スロットルレバーを前に倒し、出力を上げる。
ピクシーを追い抜いて、爆撃機に向けて機関砲を放った。
炎を吹いて堕ちる爆撃機。

「こちら、ガルム。敵攻撃部隊の迎撃に成功した。」

≪こちら、基地指令部。こっちでも確認できた。
 逃げ帰ったベルカの奴らが上に戦果報告する様を見てみたいもんだ。≫

『ははっ!!』

無線越しにピクシーの笑い声が聞こえた。
笑い声は暫く続いた。

『サイファー、お前とならやれそうだ。よろしく頼む。』





『相棒。』






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