1995/04/25 11:40  フトゥーロ運河周辺




≪ 運河を無事通過できるよう連合艦隊を護衛しろ ミスは許されないぞ!≫



わかってるさ、俺は言葉を飲み込んだ。
目の前に広がる運河にはいくつもの艦隊が浮かんでいる。


[ こちらケストレル艦長ウィーカー 全乗組員 任務を続けながら聞け
     先発攻撃隊が切り開いた血路を進む なんとしても突破するぞ! ]

≪ レーダーに反応! 本空域に複数の敵機が侵入! ≫


レーダーを見る。10時の方向に敵機影を確認。
さっそく来たか…。

操縦桿を握りなおす。


「どおしても通らせたくないらしい、行くぜ、相棒。」


もちろん返事はないが、もともと期待はしていない。
そういうやつだ、何回か一緒に飛んで最近理解した。

ふと、この間のあの表情を思い出す。

ぞわり、と背筋に何かが通る。


ごまかすように一機にスロットルを倒した。

俺の先を行くサイファーが早速一機墜とす。


「負けてられねぇっ」


目についた敵機の尻に食らいつく。
慎重に距離を詰め、機関砲を放った。


チュインという音が何度か聞こえ、敵機体から煙が噴き出す。
そして、目の前で爆発。木端微塵だ。


「キル!」


レーダーを確認。
四方八方から幾つもの敵機影が映っている。


[ 全方位へ警戒態勢を敷け! ]

「ベルカの抵抗も激しいな。重要拠点手わけか…。」


どうるす?とサイファーに問いかける。


『散開。』
「ウィルコ!」


俺たちは互い真逆の方向へ飛んだ。





「護衛任務は神経をすり減らす。」


下の奴らを気にしつつ敵を追い込む。
本音を言えば、苦手だ。

飛ぶ範囲が規制されるのは嫌いだ。空は自由なのに。


なるべく艦隊の上を飛ぶようにして敵機を攻める。
落としても落としても減らない敵機に相手も本気なのだ。


「相棒。何機墜とした?」
『数えて、ない。』


思わず笑みがこぼれる。

「俺もだ。艦隊に近づきすぎて味方の弾をもらうなよ。」


ミサイルを放つ。

敵機に吸い込まれるようにあたるミサイルが気持ちいい。

下を確認。



『イーグルアイ。艦隊の位置は?』

≪ やっと運河の半分まで進んでる。ガルム隊、引き続き護衛を頼む。≫


俺は盛大に舌を打った。


「ノロノロと…っ!相棒、冷静に敵機を墜とすぞ。」



[ ケストレルは俺の帰る船だ。沈めさせたりはしないっ ]


どうやら、ケストレルのパイロットも上がってきたようだ。

敵機影は減ってはいない。

何度も下を視界に入れながら敵機を追う。

運河に幾つもの水柱が立つ。

そして、最悪の報告。


[ 船首に直撃弾っ!!だめだ、沈没するっ!!! ]


船が運河に飲み込まれていくのが見えた。


『あと、3機…。』

相棒の科白の後、爆発音。
操縦桿を握りなおし、スロットルを引いた。



旋回。


クルクルと世界が回る。

目の前にある敵機にミサイルをぶち込んでやる。


『ナイスキル。』


サイファーがいった。

意外だ。



「ありがとよ。ついでに最後の一機は俺が…。」


良い終わる前に、レーダーから最後の敵機影が消えた。


『…なんか言ったか?』



「いや…。」



良い根性してるな、この野郎。


心の中で呟く。






[ こちら空母ケストレル艦長ウィーカーだ我が艦隊は運河の通過に成功した

  多少損害を受けたが 何 大事はない 航空部隊の諸君 支援を感謝するぞ! ]




作戦成功を意味する科白に、やっと一息つけた。


機体を旋回させて、サイファーの機体の後ろにつく。


そして、お決まりの科白を言う。



「よう、相棒。まだ生きてるか?」





















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